2014年02月02日

冬詠 40


01 焼き芋は焦げ静謐という定義

02 新千鳥街ネコの留守神の留守

03 芭蕉の忌取り壊さるる立飲み屋

04 灯油売来る岩崎宏美の「家路」

05 寒風や押しボタン式信号機

06 人は恋ひ街に出る熊は空腹

07 切干の縮むに頼りなき日差し

08 トイレットロールの厚み小六月

09 冬凪や母である妹と会う

10 蹴球の話ボスニアヘルツェゴヴィナと唱ふ

11 七センチヒールはぴんと姫椿

12 里神楽隣客のマスカラのダマ

13 雄鹿座は冬の星座よあれが角

14 ふと聞くや死に至るらし犬の風邪

15 二の酉や洋画字幕の小さけれ

16 やはらかき熊手あるらし歌舞伎町

17 狐火や大人には見へなくなりぬ

18 左手の煙草臭きや漱石忌

19 目くばせをせん対岸の火事のごと

20 ブロッコリー煮えカルト映画の記憶かな

21 かまくらの絵はがき窓の替わりにす

22 蜜柑や猫の口角が上がりぬ

23 冬の月エレヴェータごとりと動く

24 詠みはじむのはなるべくはやさしきことば

25 初空や木蓮の芽の微かなる

26 抹香の香を連れて来し三日かな

27 脈々と達観つづく達磨市

28 スーパーに残る草石蚕てふ桃色

29 左手に破魔矢右手にワイン提げ

30 老猫とゐてひたすらに寝正月

31 女正月マトリョーシカの中に闇

32 惑星の光が残り小正月

33 鮟鱇切らるる梅園へ向ふ路地

34 深海は此に続きて鮟鱇鍋

35 劣情や風呂吹は色薄く炊く

36 凍蝶の一羽や今朝の地震(なゐ)長し

37 北風を孕みて猫の背の匂ひ

38 はぐれ手袋一枚のごときさよなら

39 野球部の子ら声変り日脚伸ぶ

40 必要とされぬものらと春を待つ

posted by たザわよしなお at 12:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする