2016年02月08日

冬詠25

「趣味は俳句」と公言していたら年の瀬、シゴトつながりのあるグループホームの方から入居者の俳句を見せていただいて感想を求められることになりました。そういうことはままよくあるのですがそのたび、ひとが表現したいものとその欲求についてを考えます。
その彼女に関しては、精神病発病ずっと以前、親御さんから作句の手ほどきを受けていらしたとのことで、情景描写の基本に徹したやわらかい言葉選びをして作られた句の数々でした。観察するものとして、自分の眺めたいものを定義するためにことばを選び、発してゆく、というスタンスの句は、自己プロデュース前面に押し出した言葉の羅列句とかよりずっと、僕は好きかもしれません。


初時雨床に散らばってゆく小銭

三輪車捨て置かれをり冬菫

父は父らしきかをせん七五三

鬱屈の検索履歴羽根布団

北窓に吊るアドベントカレンダー

古傷のなき振りせんや百合鷗 

恋人よこの河豚鍋の出汁濃ゆき

隙間風さういふことばの放ちかた

日短と早朝覚醒する意味と

年用意する店車窓に垣間見ゆ

空にある穴という文字山眠る

雪曇り身体よりまろび出るもの

古書店とケーキ屋をへて冬の月

ひげおとめさんこんばんは冬すすき

生きていること問うホットケーキ詠む

くぬぎ炭売る古道具屋の無音

ししむらを映す硝子よ鎌鼬

車椅子の幅の通廊冬の凪

小用の放たるる窓寒夕焼

値切り旨き客に買はるる髭達磨

よく動く猫居た去年初明かり

初場所の行司改名さるニュース

駅伝の解説暫しもたつきぬ

鼻唄や映画館跡地は冬野

ニット帽にも建蔽率と云うルール
posted by たザわよしなお at 02:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする