2016年08月15日

春詠〜夏詠 40

立春から8月の節分まで。
 脳内の俳句にまつわる回路は、日々開閉する訓練をしていないと錆びていってしまう。
というか、日常生活を送るうえでそれを閉じていなければいけないことを強いられているのは
たぶんまずいことなのかも知れない。
 何が自分を錆びさせるか、などをうっすら考えながら、もう秋を迎えている。

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白杖と帽子のあをと春の雪

琴と三味線の店北窓ひらく

草焼いてゐて一昨年に埋めし鳥

風信子花柄を摘み捨てる母

梅二月男子校生の肩幅

鷹化して伝書鳩たれ留守投句

ざらざらと蜆炊く鍋中に闇

母子家庭卒業式と云う区切

蕗の薹刻む男の無職かな

猫の恋今晩は両想ひらし

イースターペコちゃんの首傾ぐまま

花疲れていうか悲しいなら言いな

サイフォンを焼く火の青き凍返る

月曜の雨満天星の花俯く

やや酔った勢いでした筍煮

宵春や手提げ鳩サブレーのロゴ

読経の止みたりふいの青嵐

河鹿鳴く今朝も行方不明者ゐて

水子供養in English たる薄暑

憲法記念日海まで行ってから戻る

夏きざすのっぺりとした鼻の犬

蓋のない便座の前に立つ薄暑

どうせセフレだし冷奴の薬味

掃除機の音眠し十薬の花

守宮鳴や改築さるる療養所

ヒゲ+メガネの羅列麦の秋

踏切の音かん高き墓参かな

朝の弥彦線虫篝の残り

わたくしに貯へられし無味の汗

長尺で撮る洗骨の儀と旱

さみだるるゴミ収集車のメロディー

掃除機の音眠し十薬の花

浅草にある生き方や夾竹桃の花

四万六千日境内の端に猫

ほほづきの市小雨来てまた止みて

風鈴に丁度良い白熱灯の影

川縁に立葵動物医院

人工の滝人工の海に落つ

舐瓜さまビュッフェ最端に集ひぬ

夏果つる填め殺されし窓のうち

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2016年02月08日

冬詠25

「趣味は俳句」と公言していたら年の瀬、シゴトつながりのあるグループホームの方から入居者の俳句を見せていただいて感想を求められることになりました。そういうことはままよくあるのですがそのたび、ひとが表現したいものとその欲求についてを考えます。
その彼女に関しては、精神病発病ずっと以前、親御さんから作句の手ほどきを受けていらしたとのことで、情景描写の基本に徹したやわらかい言葉選びをして作られた句の数々でした。観察するものとして、自分の眺めたいものを定義するためにことばを選び、発してゆく、というスタンスの句は、自己プロデュース前面に押し出した言葉の羅列句とかよりずっと、僕は好きかもしれません。


初時雨床に散らばってゆく小銭

三輪車捨て置かれをり冬菫

父は父らしきかをせん七五三

鬱屈の検索履歴羽根布団

北窓に吊るアドベントカレンダー

古傷のなき振りせんや百合鷗 

恋人よこの河豚鍋の出汁濃ゆき

隙間風さういふことばの放ちかた

日短と早朝覚醒する意味と

年用意する店車窓に垣間見ゆ

空にある穴という文字山眠る

雪曇り身体よりまろび出るもの

古書店とケーキ屋をへて冬の月

ひげおとめさんこんばんは冬すすき

生きていること問うホットケーキ詠む

くぬぎ炭売る古道具屋の無音

ししむらを映す硝子よ鎌鼬

車椅子の幅の通廊冬の凪

小用の放たるる窓寒夕焼

値切り旨き客に買はるる髭達磨

よく動く猫居た去年初明かり

初場所の行司改名さるニュース

駅伝の解説暫しもたつきぬ

鼻唄や映画館跡地は冬野

ニット帽にも建蔽率と云うルール
posted by たザわよしなお at 02:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月14日

秋詠20 ジャズフェスティバル/ゴリ山田カバ男氏へ




七夕や里山にジャズフェスティバル

蚊の名残町に三軒ある寿司屋

おおぶりの梨果湖の名を冠しをり

淋しきと色欲と白さるすべり

大臀筋下のたわみや秋彼岸

蚯蚓鳴く眼鏡外した父とゐる

レジスタア脇累々と干し鰮

鳴虫やセックスがしたいだけなの?

呼吸せぬ楽器を抱き虫のこゑ

八朔やアンソニィバージェスを読む

何事なく二百十日の虹消えゆ

十六夜の鈍色のCOACHの鞄

団栗の立位体前屈寝椅子

銀杏黄葉見世物の小屋無くなりて

滴下する薬の速度とろろ汁

さふゐふの神楽に似てゐても違ふ

運動会に行きたくない朝のもや

耕畝忌の父が戻らぬ赤の靴

蟷螂の孕み終へしから威嚇

花水木紅葉路上に唄ふ人
posted by たザわよしなお at 06:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月14日

夏詠20

今回は不作だなあと思ってゐたけれど、振り返ってみればあまり自分のぶれてない足指の間のニオイを嗅ぐやふな安心感。つまり、さふいふこと。


パセリ摘む爪が一日分伸びる

雄という空虚寺山修司の忌

短夜に触り心地の良いマクラ

はつなつの書棚のゴルゴ13

薫風やバッハガヴォットの六番

母娘喋り方似る梅実る

えごの花散る散るキラキラぼし唄う

ガムシロと略さるップや夏の湖

まひまひや川原は犬ら去り静か

色恋へ至るか知らず紙魚の銀

花農家次男麦わら似合ひをり

羅や翼もつ生き物群れる

ラジオと云うツール横山剣小暑

山中にウクレレ喫茶月見草

鼓動のみ只さはがしき短水路

吽形の仁王の袂夏果つる

過呼吸の発作紙細工の金魚

炎帝のレコードを裏返すさま

リカちゃんが肌蹴てベビーカーご乗車

秋迩ワールドミュージックのセール
posted by たザわよしなお at 08:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月25日

春詠30  うつくしい譚/ひこばゆる



春眠の軟らかいジグソーパズル

うつくしい譚とりとめ無い二月

猫柳帰るタイミングを逃す

路地に春五十嵐さんのいた肉屋

冴返る夜リオデジャネイロは雨

かざぐるまわざとゆつくり歩きをり

二月新月妊娠でいう安定期

繰かへすだからとしかし沈丁花

何時ものやうに謝肉祭終はり朝

春一番空気漏れゆく宇宙服

雪柳貰い火をする喫煙所

仕掛け絵本オレンジ剥けるページかな

三月の地下鉄に流れない水

コピー機のひかりの色と草の餅

雛あられむさぼる髭の濃い薄い

うららかや此のまま由比ヶ浜へ下る

彼岸会や不在のものに形無し

別れ霜まだこめかみに疼くもの

春昼や書店のレジの列鈍し

風光りをり双子用ベビーカー

不揃いな歩調の犬を曳く朧

幸不幸二択なら幸はるうれい

暮れかぬるなにかを埋めている工事

街路樹のあった記憶やひこばゆる

啄木忌通過電車のあとの鳩

延焼に似たはくれんの樹の開花

靴ひものほどけてゐる子梅若忌

夕櫻帰れなくなる遊園地

フリルとはびらんなるもの豆の花

八百万木々の芽に宿る音楽

posted by たザわよしなお at 09:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月07日

冬詠30 日常に地続き/ブリオッシュ





日常は地続きたりぬしぐれかな

星ひとつひとつに名前桃青忌

八分の六拍子たる里神楽

柿落葉加藤佛壇佛具店

茶の花や昨日から巻き爪疼く

フランスの煙草の匂い今朝の冬

クリスマスなのに何にでもマヨネーズ

約束はしない遣り取り鵯鳴けり

階段にタマゴポーロが散り冬日

親にはヒミツちゃんこ鍋煮詰まりぬ

耳遠くなつてきた猫冬銀河

肉食の獣と暮らしてゐる毛布

口ずさむポインセチアちふリズム

冬満月靖国通りから見やぐ

柊の花や高倉健は逝く

暖房の襖に物理的な距離

片仮名の駅降りてから冬木立

銀杏落葉怪獣ごと哭く子ゐて

冬三日月フィドル弾き真っ直ぐに立つ

冬凪のプロレス雑誌発売日

寒薔薇咲けり少年は精通す

餅米洗うスウィングアウトシスター掛けて

埠頭では今フェリー発つ鮟鱇鍋

御降や古き卒塔婆だけの墓地に

出初式終りぬ眉の上の傷

寒苺ブリオッシュを食べればいいのに

切られたる緋蕪ベテルギウスの鎮座

春星忌ハモニカを持ち歩きをり

冬の蝶点字ブロックを辿りて

明日ひとと逢う予定あり春隣

posted by たザわよしなお at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月26日

秋詠 25  音楽/火曜日/眠る老女

音楽となる寸前の鱗雲

催せどあかくなりそびれたヤンマ

足首を掴まるる夢みて虫のこゑ

古本に残る書込み鳳仙花

朝顔にタイムサービス中の札

秋高し土建屋の男の返事

膝丈は義足でありぬ秋夕焼

秋の水ひとの営む匂い濃し

処暑たるや格闘技ジム多き町

船跡を習ふ鴎の爽かなる

雨過ぎて係船さるる海静か

初潮のゆるく渦まく陸の果て

芒野や友らのふいに黙り込む

龍田姫開けてはならぬ蓋のあり

山端の空にあな開き秋夕焼

茸干すマッカートニー的なヒゲ

後の月いつまでも付いて来る猫

雁渡あまり上手くないコーラス

木犀や誰かが雨を喚ぶ儀式

無花果に青味残りぬ抜歯の日

火曜日の暮れ笑栗がこぢんまり

こほろぎや飼猫の食細くなる

秋聲に蝶の成る樹の在処知る

行秋や左と叫び左かな

眠る老女と晩稲いくつかを過ぎ尾瀬
posted by たザわよしなお at 20:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月01日

春詠 28 クロックムッシュ〜クロックス

クロックムッシュ鍋に焦げ癖夕霞 ザ
電話帳にもやし屋載りぬ春の昼 ザ
鳥雲に仕掛け時計が鳴り始む
ハロッズの熊の手提げや花疲れ
花街の卒塔婆小町や花篝

春暮れる下巻だけしか無い本屋
幼稚園バスにさよなら雪やなぎ 
夏近しオリビアニュートンジョンの皺
犬桜タイラーメンの店混みぬ 
唇にピアスのありぬ佐保の姫

制服の膝裏のしわ夏隣
文鳥が欲しき子のゐて暮遅し
満天星の花と定休日のパン屋
春眠し乗降のなき停車駅

亀鳴くや釣銭足らぬ販売機
春雨やライターの点かぬ一日
外は雨らし蜆汁混ぜる音

凍ゆるむ出口ばかりの改札機
工員は爪白濁る実朝忌
知らぬ間に建つ家今日の梅蕾
芽キャベツの結球ひそそ呟ける

恋人の寝ごと建国記念の日
春暁の金管楽器吹きの身体

梅一枝ポン菓子の孕む緊張
柳萌ゆ此処までは一緒に歩く

青麥繁るダルビッシュ有の髭 
暮遅き歯医者の匂いする子をり
クロックス煮〆たる色夏隣
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2014年02月02日

冬詠 40


01 焼き芋は焦げ静謐という定義

02 新千鳥街ネコの留守神の留守

03 芭蕉の忌取り壊さるる立飲み屋

04 灯油売来る岩崎宏美の「家路」

05 寒風や押しボタン式信号機

06 人は恋ひ街に出る熊は空腹

07 切干の縮むに頼りなき日差し

08 トイレットロールの厚み小六月

09 冬凪や母である妹と会う

10 蹴球の話ボスニアヘルツェゴヴィナと唱ふ

11 七センチヒールはぴんと姫椿

12 里神楽隣客のマスカラのダマ

13 雄鹿座は冬の星座よあれが角

14 ふと聞くや死に至るらし犬の風邪

15 二の酉や洋画字幕の小さけれ

16 やはらかき熊手あるらし歌舞伎町

17 狐火や大人には見へなくなりぬ

18 左手の煙草臭きや漱石忌

19 目くばせをせん対岸の火事のごと

20 ブロッコリー煮えカルト映画の記憶かな

21 かまくらの絵はがき窓の替わりにす

22 蜜柑や猫の口角が上がりぬ

23 冬の月エレヴェータごとりと動く

24 詠みはじむのはなるべくはやさしきことば

25 初空や木蓮の芽の微かなる

26 抹香の香を連れて来し三日かな

27 脈々と達観つづく達磨市

28 スーパーに残る草石蚕てふ桃色

29 左手に破魔矢右手にワイン提げ

30 老猫とゐてひたすらに寝正月

31 女正月マトリョーシカの中に闇

32 惑星の光が残り小正月

33 鮟鱇切らるる梅園へ向ふ路地

34 深海は此に続きて鮟鱇鍋

35 劣情や風呂吹は色薄く炊く

36 凍蝶の一羽や今朝の地震(なゐ)長し

37 北風を孕みて猫の背の匂ひ

38 はぐれ手袋一枚のごときさよなら

39 野球部の子ら声変り日脚伸ぶ

40 必要とされぬものらと春を待つ

posted by たザわよしなお at 12:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月22日

時折の狼/有平棒速し

時折の狼になりたき病

マスクしていて気づかない程の雨

遠き火事大音量のエミネム

漱石忌カフェの店長は不機嫌

男てふ冬至カボチャ煮る生き物

茶の花や曖昧な返事でかへす

冬の日の床屋有平棒速し

土曜日は冬の季語なり独つ柿

歳の市痩せ細りつつあるケバブ

フリスクを砕く臭ひや冬の川

母亡くす喪中葉書の多きとし

儚きは去年今年首据わらぬ仔

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2011年04月24日

矢印/U2



日永き売残るタコヤキ僅か


辛夷咲くあんなに好きだったU2


春愁の矢印ラブホテルのネオン


プリムラや乱筆の片仮名の多々


浮塵子立つ何もなきわたくしの旨


葬送のありて紫雲英ひろがるばかり


怒気帯びゆ独り言たち春の蘭



 4/20(水)穀雨 竹輪句会へ投句など。

 先月以来、それで何事もなかったかのように日常雑詠をしてしまった感と、それをし得た安心のようなものがあったけれども。こうして拙句だけ並べて見れば、何事もなかったってわけでもないと気づく。日常は地続きだし言葉も失せてしまわないと、信じるしかないとしても。
本来、春のおわりは好きな季語が多いのに、かたちを見出せなかった言葉がまだ多い。それと、句会という環境に支えてもらえる次元への感謝。
posted by たザわよしなお at 01:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月20日

「浴室」etc

ヒヤシンス花感情に連なるる

如月の犬が乗る軽トラも白

北窓を開く暗渠は西へゆく

朧夜にゴミ漁るおんな呟く

眼の色の薄い老女の菜飯炊く

J=P.Toussaintを読む麗らかの意味
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2010年10月06日

無月/昼の虫

昼の虫つらつらとボーイズトーク

隣客の肘の体温秋団扇

蜩や学校に行きたくない子

不整脈見つかる扇風機を仕舞う

ししむらの欲よびんぼうかつらてふ

秋の夜半キレのある喋りなど無理

芋の葉は背高けき老猫の去る

髪刈りては隅に居る蟋蟀に降る

売れ残りはんなりとせぬ鰯よな

山は霧エゾシカは翻り去り

月凪やトモダチと友達の距離

暮れ落ちる路地 犬の群れ月昇る

ぜんまいの太陽系儀に無月かな
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2010年08月11日

035:金(たざわよしなお)

「銀の滴降る降る周りに…」彫金をせし美しき太き指より
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2010年08月10日

034:孫(たざわよしなお)

半世紀前のアルバムこのひとの子孫であって途絶えさすこと
posted by たザわよしなお at 21:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

033:みかん(たざわよしなお)

夏みかん色の眼球と爪 逃げ出した鰐がいる熱帯夜
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2010年07月30日

夏果つる


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彼は遠き処にゐたり夏枕


手の届くところに泰山木が咲く


メロン冷え過ぎたまま一人の西日


かなかなや過呼吸に似る喘ぎ声


冷奴盛る聴き取れぬ電話問ふ


別れきは眉寄せ夾竹桃の花


夏果つる居酒屋で頼む冷や水

posted by たザわよしなお at 18:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月20日

花苔/夏の月

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夏木立殴られるかの如きいろ


月涼しうっすらの決意と雲と


野球部にふたり足りない青嵐


朝凪や遠き友の訃報の夢


鳴神や作業靴らは働きぬ


十薬の四弁千切っては捨て千切る


花苔や人のかたちのひとでなし
posted by たザわよしなお at 22:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月20日

時鳥/空気の密度

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朝の南風ゆるい登り坂のずっと


時鳥ここには居ない人の事


蝙蝠のさはがしき空気の密度


夏蝶やパン屋の自動ドアひらく


夫を待ちつつ金魚売と斜陽


縦笛を吹きつ来る子ら夏に入る
posted by たザわよしなお at 11:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月22日

ヘーゲル/八十八夜

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煉瓦壁越しに源平桃の咲く

蠅生る朝の無精髭の脂

蝶の昼楊枝の背なで耳穿る

八十八夜彼の恋は終りだらふか

春昼は野球部の声大きけり

あお柳スーツ販売員のヒゲ

春囃子住宅街の奥は闇

ヘーゲルに指を挟みし夏隣

老女ひとりプリムラに散水す

posted by たザわよしなお at 11:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月19日

はつ午/夜の来る蜆

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ホーム際春愁は周辺視野に

春立つや祖父の左手の冷たさ

おでんの具に生まれかわるなら何と?

はつ午の暮れは揚げ物の匂いす

恋人の枕嗅ぎ春暁迎ふ

遠山や楽し記憶だけが朧

蹴り入れど濁りの浅き春の泥

風車祭怨念は消えたフリをす

夜の来る蜆に三割引シール

歳時記の春の頁の厚きかな



 第45、46回竹輪句会へ。
posted by たザわよしなお at 01:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月23日

cironnup/去年今年




アイヌ語で狐は「殺されるもの」の意

短日や高架にディーゼル貨物ゆく

翻りすぎる松たか子のコート

凍月の摘出されし筋腫かな

バービーは子宮無きままコートまとふ

劣情は失せてポインセチアの咲く

御降や積もる捨てる場所も無く

真夜中の色のダウンジャケツの流行り

喘息の子よ見開きたる眼すさまじ

松過ぎゆ自転車の猫背の列と
posted by たザわよしなお at 04:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月23日

冬の句/大腿骨の骨

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冬眠のかなぶんよ死にたくなるの?

暮の秋ひもじき声の猫写す

山眠るこれは大腿骨の骨

漏らしたきこと蓄へて豆の花

土はまだ微かに温し寒茜




11月11日 第42回竹輪句会へ投句
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=48028388&comm_id=1162118
posted by たザわよしなお at 20:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月07日

不機嫌の暮に



不機嫌の暮に肉じゃが炊く匂い

諦めたもののいくつか火の恋し

赤い羽根貰わず恵まれたひとである

秋蝶の骸動かす風のあり

野分立つ朝に淋しいならば鳴け


  10月14日、第41回竹輪句会に投句
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=47238894&comm_id=1162118
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2009年09月20日

秋の句/引込線



水面まだざわめいていて鬼やんま

栗を剥く夕暮れプロ野球の話題

秋没日 駅裏引込線の先

秋蒔きの種購ふ四年目の恋よ

秋燈やビッグイシュー売る子の若さ


  9月16日、第40回竹輪句会に投句

posted by たザわよしなお at 14:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月06日

夏から秋への句



急げいそげもはや蝉すら燃え尽きる


逢引の後 くちなしの花終る


新秋やJazzてふ人間の音楽


白杖がふたり降り来て ゆりの花


藍藻畝るみずうみ息づまるほど静か



  第39回竹輪句会に投句(兼題「匂いのする句」を含む)
  http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=45179669&comment_count=0&comm_id=1162118

ひさしぶりの新宿の街は、五感に降る情報量がもの凄かったでした。
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2009年07月09日

夏の句・2

手に温し甚平の肩の面積


函館も夏がれており祖母の癌


話題途切れてタイカレー煮える


手に乗せたクワガタ 床に落るおと


夜に地を這ふ冬瓜の花の白


逗子へ向ふ列車ハーフパンツの丈



  第38回竹輪句会に、投句したものとかそうでもないものとか。
  http://mixi.jp/view_community.pl?id=1162118
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2009年06月11日

夏の句

黒南風やバスは降客のなき侭


不登校の子もいて運動会終わる


延々と母は百足虫を潰した話


水無月や網棚の上の花束


耕運機は傾斜したまま木下闇



   第37回 竹輪句会へ投句
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2009年02月07日

春の暮

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夜九時のレジ草臥れた蕗のとう

三月風いつまでもこのままじゃない

初午や酔ひて同じ話ばかりす

祖母の歳時記 草の芽の頁にメモ

春めくや妻の靴紐結んであげる

死亡事故現場 くすんだ春の暮
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2009年01月17日

冬〜新春詠

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澱む処々が在りつ川痩せる

手袋をはいたりぬいだりする気持

古着屋のラガーシャツ彼のひとおもふ

店員のニキビの跡や聖誕祭

寒燈の外に未だタクシーの列

甘露煮の鰊 母とは違うあまさ

白息やリップクリームの味は濃し

練り物を只管煮ても人恋し

初夢に大事なひとが居なくなる

今朝の春ラジオでauroraの話

去年今年ヨンバンセンに来る電車
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2007年11月10日

十一月

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僕は十一月に死ぬのはイヤだ。

痴呆するひと、ニガウリの返り花

街の冬体育座りしてしのぐ

絆創膏のはく離紙でふと折鶴を

暮早し環七も混んでいるらし

「この雨は十一月の雨っぽい。」

仔を孕む蟷螂跳ね防犯灯光る

明日晴れたらソラマメの種を蒔く

冬めくや明日の天気予報は雨
posted by たザわよしなお at 07:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月08日

春の句・2

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はなあしび はりつめていたものゆるむ


山茱萸(さんしゅゆ)や降る陽を授けているのなら


春の水 ウェイターの背は伸びやかに


里山や桃枝だけ むぞうさに燃ゆ


香を先に色決めかねてフリージア


春の灯や駅前に寝るひとのいて


昔ほど甘くなくとも蝶の昼


木の芽いでく たださわさわとさわさわと


野焼きたる夜は向風だけ強く


5m先追い 泳ぐみず温し
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2007年03月03日

春の句

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借り宿の朝魔法瓶の湯も緩み


与那国の十六日や爪(バチ)弾け


冴返るビル間見上げて地球光


会えないのならば同じで針供養


車イス赤し療育園の春


道すがら煙の臭に恋も焼き


猫柳折りとる程に苛立ちて


初午の囃子聴こゆるサヴァービア


涅槃会や夜更け男の爪を切る。
posted by たザわよしなお at 17:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月17日

冬の句

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友人たちとやっている句会のその日は、双子座流星群のピークでした。
 ―――

寒茜 指の背のささくれを剥く

風冴ゆるさみしいという感情は

寒の月 少し欠けている方が

垂雪(しずり)落つ如肉欲が静まりて

帰らねばならぬバス停に降る時雨
posted by たザわよしなお at 13:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月10日

句会をやってきましたよ。

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緩みきった寝息の傍に秋を待つ


アルタイルから見て僕はまだ暗い?


竹べらを添わせた指で桃を割る


終電ノ窓ニでねぶハ帰路ワカラズ


昨年の恋は浴衣の肩幅に


吾の腰の高さで髪を洗う音


閉園の薔薇園に迷い込み


大の字のビール腹足で弄び


言葉尻捉えて殴れ青嵐


温室を出てサボテンは嗄れ下がり


濡れそびた傘はアナタの側にいて
posted by たザわよしなお at 01:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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